統合失調症

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統合失調症

統合失調症とは

統合失調症は、思春期青年期に好発し、原因が不明の代表的な精神病です。そして、人格、思考、感情、行動、興味関心、対人関係などに障害をきたす疾患です。

原因

思春期青年期における無理な自我確立の努力と挫折をきっかけに発病し、出立の病といわれています。恋愛や失恋、就職などきっかけになりえます。

症状

症状は極めて多彩ですが、一般には以下のようにまとめられます。

  1. 陽性症状
    被害妄想や幻聴

  2. 陰性症状
    感情の平板化・感情鈍麻—表情変化の減少、場にそぐわない感情。
    思考貧困・自閉的思考(現実感の喪失、自我に沈潜する)
    意欲および発動性低下—みだしなみが悪い、不活発。
    快感消失・非社交的—娯楽への関心低下、友人がいない、自閉的態度。
    注意の障害—集中力・気配りの低下

  3. 認知・行動障害
    注意、記憶、概念形成など多くの側面で障害があります。
    (一見、知能が低いと評価されがち)

代表的な研究者の一人であるブロイラーは(連合弛緩、感情鈍麻・平板化や不適切な感情などの感情障害、感情のアンビバレンツ、思考の自閉)の4つの症状を重視しました。

幻覚・妄想は副次症状とされ、連合弛緩を一次症状としています。連合弛緩というのは、会話してみるとわかりますが、思考の過程に障害があり、まとまりがなく奇妙で非合理的です。妄想・幻覚、緊張病症状などの陽性症状は、その他の統合失調症以外のさまざまな精神障害の際にもあらわれるので、診断的価値は低いとしました。しかし、その中で妄想気分、または、緊迫・困惑気分、妄想知覚、および自我の能動性の障害(離人症、させられ体験)や自我障害(思考伝播など)などは比較的重要です。

診断

診断については、主として症状とその経過に頼っています。

病前性格:シゾイドまたは分裂性気質の性格タイプの人。いずれも自閉性を主徴とする。もろい内面と硬い外面。繊細さと鈍感さの共存。非社交的、静か、控えめ、きまじめ、変人。臆病と敏感、興奮しやすさ。正直、愚鈍。大人しくて真面目、引っ込み思案で融通きかない決断力鈍く内向的な人

頻度、経過と類型

遺伝子研究が行われているが、明瞭な結果は出ていません。100人に1人。原則として慢性経過をとる。明瞭な統合失調症性残遺の生じる患者は約1/3。亜型として、破瓜病、緊張病、妄想性統合失調症、潜伏性統合失調症、単純型統合失調症、内因性若年・無力性不全症候群、偽神経症性統合失調症などに分類される。

その他、患者自身の対応上の特異な統合失調症性障害

  • 病的合理主義:
    合理的因子のみをもって自分の行動を律するようになる。自分の行動を極端に合理化する病的な態度が現れる。(無駄をいやがる、遊び・楽しむことが下手でいやいや遊ぶ、金や行動に対してケチである。損得にうるさく、細かく計算高くなってしまう)
  • 具象化傾向:
    比喩を文字通り理解するか、身体言語的に表現する。過度に具体的か過度に抽象的。比喩や抽象を自己流に具象化する傾向がある。抽象的・象徴的言い回しとの具象主義的関わり(文語体で話したり、話が具体的すぎて不自然とか)。不適切な抽象化によるもの、つまりそのつどの課題にとって重要でない刺激を抑制することが困難。(要領が悪く、真面目すぎる、ずるはできない。優先順位をつけるのは苦手。)
  • スペーシング機能障害:
    統合失調者は、自分の生存を安全にするための対人距離を長めにとっていて孤立しやすい。元々外界からの侵入を押し戻す力が弱いために、パーソナルスペースを大きくとって防衛している。そのために、常に高いエネルギーを消費している。安全を保証されない空間、開かれた空間には耐えられなく、他者の接近に対して通常の人よりも辛くなる傾向があるため、他者の接近に対して攻撃的な行動を触発されやすいともいえる。(患者の守っている空間を大切にしてあげること)
  • 実感棚上げ現象:
    身近な人の死など、一般に衝撃となるような事態に遭遇しても、他人事のようにその事実を平然と受け止め、何らの動揺も示さないことがある。一定期間を経て、唐突にその事態に対して然るべき感情反応を示すことがある。実感の棚上げは防衛規制として働いている可能性が大きい。

治療について

陽性症状への対応

  • 抗精神病薬の使用
  • 妄想・幻覚への対応:患者が好んで話さない限り、聞き出さない。かえって不安や混乱を生じます。しかし、患者から幻覚などについて話し、話すことが本人の安心につながり、現実検討能力を低下させないことに役立ち、気持ちをくむことになるならば、聞いてもよいです。また、妄想については否定せず、肯定せず、はぐらかさず、という態度が望ましい。妄想に迎合して安易に相づちをうつことは不誠実というだけでなく、妄想を増強することになりかねません。「それは幻聴という症状であなたの心の中から出る言葉です」という方向が良いでしょう。

陰性症状への対応

  • 抗精神病薬の効果はあまり期待できない
  • 感情の平板化や感情鈍麻とみられる背後には敏感な情動性があり、無関心という仮面の陰には敏感さを隠し、主に人間関係での情動性ストレスに対して身を守っているとも考えられます。強引な関与はせず、ある程度距離をとったうえに共感的な対応が望ましいです。

自閉的思考や発動性低下、非社交性などの症状の関与から生じる自閉的態度(引きこもり)は、自己の空間を決定することで、他者の侵入を防ぎ(統合失調者は他者との境界が不鮮明になっており、そのため常に他者の侵入や自己内部の漏洩におびえている)、安定を得るための防衛手段である。自閉を保証し安心感を与えることが必要です。

俯瞰的なマクロなものの見方をするのが苦手で不器用です。本音と建前を使い分けは下手。優先順位をつけられず問題意識を位置づけられないので導いてあげることは大切。個々の状況への対応の仕方を教えてあげるバリエーションのある教育(教えてあげるとできるようになる)は必要です。