若大将とその時代

投稿日:2015年3月20日|カテゴリ:コラム

先日、家族のお祝い事があって、食事をしようということになり、年に一回行くか行かないかくらいの馴染みである、浅草のひさご通りの「米久本店」という牛鍋屋で食事をした。入店するときに、人数の分だけ太鼓をたたき鳴らしてくれる。4回音が鳴った。趣がある古びたお店であり、歴史がありそうである。加山雄三の「若大将シリーズ」で、主人公の自宅のモデルになった店だという。そのせいか、家に帰って急に「若大将」が観たくなって、かなり昔に揃えたシリーズのひとつをみた。昭和42年作である。京南大学の田沼(加山)と星由里子演じる女性が、恋におちるのだが、大会社の社長を父親に持つ、田中邦衛扮する青大将が間に入り込んできたり。スポーツ、歌とバンド演奏なども盛り込まれ、最後には恋は成就しめでたしめでたしという筋をたどる。単純な話だが観ていて安心感がある。映画の、当時の状況が懐かしい。自動三輪車、できたばかりの首都高速、登場人物のの服装・髪型、ゴーゴーダンス。

新小岩駅前の西友の中には3つの映画館があった。最上階の映画館に、若大将が好きだった母といっしょに数回観に行った記憶がある。自営業で忙しく普段笑顔をみせない母親が、この時とばかりとポップコーンを頬張りながら、けらけら笑い転げていた横顔は今でも忘れられない。