芥川受賞作家と太宰治

投稿日:2015年7月26日|カテゴリ:コラム

 先日、お笑いコンビ・ピースの又吉氏が小説「火花」で芥川賞を受賞した。その2か月前にすでに読み終えていて、いい作品だと思っていたので受賞されて私もうれしくなった。以前に、又吉氏が小説好きということでテレビに出ていた時、何度も何度も反復読みしている太宰の「人間失格」の文庫本を持ち歩いていたのをみて、そのような時期も自分にもあったなと思い、何か親近感のようなものがわいてきて応援したくなっていた。彼の謙虚な態度も好感が持てる。

実家から現住居に移った時、近隣の探索ということで、宿場町・船橋に一時期住んでいたという太宰宅を見に行った。太宰治や川端康成が逗留していたことがあるという割烹・玉川旅館に泊まったこともあった。チェックアウト時に、女将に「太宰治、昔泊まっていたんですよね?」と尋ねると、「太宰先生が泊まって小説を書いていた部屋は今も残っていますよ、見ますか」という。内心「うひょー、やったー」という感じで、おびただしい数のなんだか怪しげな小部屋のうちの隅っこの部屋に連れて行ってもらった。何かオーラみたいなものを感じて写真を何枚もとらせてもらった。

 学生の頃、太宰を読んでいると周囲に話すと、暗いとか、はしかだよ、言われたこともあって、太宰を言及することをおもんばかったときもあったが、その後の交友で太宰ファンも結構多くいて安心したのを覚えている。

 太宰について、性格に障害があるのではと、病跡学というところで評価している専門家もいるようだが、太宰の小説は、文章自体もとても上手で技巧というところでもすごい作家だなあと思っている。