認知症とは

高齢者が最も罹患を恐れる疾患のひとつです。患者さんは年々増加しており、85歳以上では4人に1人以上が認知症といわれています。
加齢による「もの忘れ」とは異なり、脳の病変による知的機能の全般的な低下が特徴である「病的なもの忘れ」です。記憶・見当識・計算力・理解力・判断力などが低下し、日常生活に支障をきたします。
加齢による物忘れとの違い
誰もが経験する加齢による物忘れとは異なり、認知症は脳の器質的な病変によるものです。
記憶の記銘力障害のほか、見当識障害(時間・場所・人物がわからなくなる)、計算力低下、理解力・判断力の低下などが現れ、日常生活に支障が出てきます。
認知症の主な種類
認知症にはさまざまな種類があります。それぞれ原因や特徴が異なります。
アルツハイマー型認知症
最も多いタイプ。脳の神経細胞が徐々に失われ、記憶障害から始まることが多い。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血などによって起こる。症状が段階的に進行することが多い。
前頭側頭型認知症(ピック病)
前頭葉・側頭葉が萎縮し、人格変化や行動異常が先に現れることが多い。
比較的若年で発症し、記憶力の低下が目立たないといわれている。
レビー小体型認知症
リアルな幻視や手足の震えを伴うことが多く、パーキンソン症状を呈することもある。
検査と診断
日常生活をよくご存知のご家族からお話をうかがい、ご本人の問診・診察を行ったうえで、以下の検査を組み合わせて診断します。
- 認知機能検査(長谷川式スケール)— 簡単な質問や記憶テストで認知機能を評価します
- 血液検査 — 認知症の原因を把握するために行います
- MRI・CT検査(他院に依頼します) — 脳の形態を画像で確認し、萎縮や病変の有無を調べます
- 鑑別診断 — 軽い意識障害やうつ状態による物忘れと区別するため、鑑別も慎重に行います
治療について
認知症の診断のもと、「もの忘れ」の進行を遅らせるお薬での治療が中心となります。
現段階では根本的な治療方法は発見されていませんが、継続してお薬を使うことで、進行を遅らせ、よい状態を維持することが知られています。
早期発見・早期治療が大切です
認知症の治療では、早めに発見し早めに治療を開始することが重要です。
お薬を使わない場合と比べて、継続的な治療によってより良い状態を長く維持することができます。
現在使用できる主な薬剤
- ドネペジル塩酸塩
- リバスチグミン
- ガランタミン臭化水素酸塩
- メマンチン塩酸塩
最近では、軽度の認知障害から軽度認知症の患者さんに対して、レカネマブ、ドナネマブという点滴注射薬が登場しています。
認知症の原因物質「アミロイドβ」を除去して進行を遅らせることが期待されています。
認知症の周辺症状
脳の病変から直接生じる「中核症状」に加え、「周辺症状」と呼ばれる症状が現れることがあります。
周辺症状は人によって異なり、ご家族など介護される方にとっても大きな負担となることがあります。
周辺症状の例
周辺症状への対応
向精神薬を少量使用し、問題行動や感情の動揺をコントロールするよう努めます。
また、訪問介護・デイサービス・ショートステイなどの介護保険サービスを利用するための要介護認定手続き(書類作成)のお手伝いも行っています。