社交不安症(SAD)とは
人前に出ると過度に緊張してしまい、日常生活や対人関係に支障をきたす障害です。
日本では従来「対人恐怖」と呼ばれてきた病態に相当し、青年期に発症することが多く、男女ともにみられます。
主な症状
これらの症状が出ることで、「自分の言動や表情が相手に変に思われるのではないか」「軽蔑されるのではないか」と強い不安を感じ、人目を避けるようになります。
こんな特徴があります
ごく親しい人や、まったく知らない人と一緒のときには不安が起きにくく、「半知り」の人との場面で症状が出やすい傾向があります。赤面恐怖、表情恐怖、視線恐怖もこの障害に含まれます。
症状が出やすい場面
社交不安症は、さまざまな社会的場面で症状が現れます。
以下のような状況で強い不安を感じる方は、社交不安症の可能性があります。

- 人前でスピーチや発表をするとき
- 人前で字を書くとき
- 周囲に人がいる中で電話をかけるとき
- 人と会食するとき
- 目上の人や自分より偉い人と話すとき
- 初対面の人と会うとき
- 会議や授業で発言を求められるとき
なりやすい方の傾向
性格的な傾向
自己評価が低く、他人に批判されることを恐れる方や、困難を避けようとする回避的な性格の方に起こりやすいとされています。
「人から嫌われたくない、好かれたい」という気持ちと「自分を主張したい・人に勝りたい」という気持ちの間で矛盾や葛藤が生じることが多くみられます。
社交不安症が引き起こす問題
苦手な場面で身体症状が現れることを恐れ、次第にそうした場面を避けるようになると、対人関係や日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
早期発見・適切な治療が大切です
社交不安症を放置すると、うつ病、アルコール依存、パニック障害などの精神疾患を合併する原因になることがあります。
症状が悪化すると深刻な状態に至ることもあるため、早い段階での受診・治療が重要です。
原因について
社交不安症は、脳内の神経伝達物質であるGABA(ギャバ)やセロトニンのバランスが乱れることで生じるといわれています。
性格的な傾向に加え、脳の機能的な要因が関わっている障害です。
治療について
社交不安症は、薬物療法と精神療法を組み合わせることで改善が期待できます。
薬物療法
症状の状態に合わせて、お薬を組み合わせて使用します。
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)— 社交不安症治療の中心となるお薬です。セロトニンのバランスを整え、不安を軽減します
- 抗不安薬 — 強い不安による身体症状に対して使用します。SSRIの効果が出るまでの間の補助としても有効です
- βブロッカー — 動悸、震え、発汗などの自律神経症状を抑えます
行動療法的関与
恐怖を感じる場面での不安のコントロールを学び、予期不安や回避行動を少しずつ減らしていくよう、促していきます。
「不安を感じる場面に段階的に慣れていく」トレーニングを行い、社会生活への自信を取り戻していきます。