統合失調症とは

思春期・青年期に好発する、原因不明の代表的な精神疾患です。
人格・思考・感情・行動・興味関心・対人関係など、広範囲にわたる障害をきたします。
有病率は100人に1人程度とされています。

発症のきっかけ

思春期・青年期における自我確立の努力と挫折がきっかけになることが多く、「出立の病」とも呼ばれます。
恋愛・失恋・就職など、人生の転機が発症のきっかけになることがあります。

症状

症状は極めて多彩ですが、大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知・行動障害」の3つに分けられます。

幻覚・妄想

陽性症状

  • 被害妄想(誰かに監視されている、など)
  • 幻聴(声が聞こえる)
  • 妄想知覚・妄想気分
  • させられ体験(思考が外から操られる感覚)

意欲・感情の低下

陰性症状

  • 感情の平板化・感情鈍麻(表情変化の減少・場にそぐわない感情)
  • 思考貧困・自閉的思考(現実感の喪失)
  • 意欲・発動性の低下(みだしなみが悪い、不活発)
  • 快感消失・非社交的(娯楽への関心低下、自閉的態度)
  • 注意・集中力の低下(気配りの低下)

思考・記憶・概念形成の障害

認知・行動障害

  • 注意・記憶・概念形成など多くの側面で障害が見られます
  • 一見、知能が低いと評価されやすい傾向があります
  • 連合弛緩(思考の過程にまとまりがなく、奇妙で非合理的な会話)

診断について

診断は主として症状とその経過に基づいて行います。
発症前の性格傾向(病前性格)も参考にします。

病前性格の特徴(シゾイド・分裂性気質)

自閉性を主な特徴とする内向的な性格タイプが多く見られます。
繊細さと鈍感さが共存し、非社交的・控えめで、融通がきかず内向的な傾向があります。
もろい内面と硬い外面を持ち合わせていることが特徴です。

経過・頻度について

原則として慢性経過をとります。有病率はおよそ100人に1人。明瞭な統合失調症性残遺が生じる患者さんは約3分の1とされています。
遺伝子研究が進められていますが、現段階では明瞭な結果は出ていません。

治療について

陽性症状への対応(薬物療法)

抗精神病薬を使用して、妄想・幻覚などの陽性症状を緩和します。
妄想については否定せず・肯定せず・はぐらかさず、という態度が望ましいとされています。
患者さんが自ら幻聴などについて話し、それが安心につながる場合は傾聴することが助けになります。

陰性症状への対応(心理・環境的支援)

抗精神病薬の効果はあまり期待できません。感情鈍麻の背後には実は敏感な情動性があります。
強引な関与はせず、ある程度の距離を保ちながら共感的に対応することが大切です。
引きこもりは自己防衛の手段でもあるため、自閉を保証し安心感を与えることが必要です。

日常生活・社会生活への支援

全体像を俯瞰することや、本音と建前の使い分け、優先順位をつけることが苦手な傾向があります。
個々の状況への対応の仕方を具体的に教え、バリエーションのある教育的サポートをすることで、できることが増えていきます。

統合失調症に特有の行動特性

患者さんの日常生活での関わり方を理解するために、以下の特性を知っておくことが大切です。

病的合理主義

合理的因子のみで行動を律しようとする傾向。
無駄を嫌い、遊びや楽しむことが苦手。損得に細かく、計算高くなってしまうことがあります。

具象化傾向

比喩や抽象的表現を文字通りに受け取ったり、過度に具体的または抽象的な表現をとることがあります。
要領が悪く真面目すぎる、優先順位をつけるのが苦手という形で現れます。

スペーシング機能障害

他者との距離を長めにとって孤立しやすい傾向があります。
外界からの侵入を防ぐためにパーソナルスペースを大きくとっており、他者の接近に対して通常より強い緊張を感じやすいです。

実感棚上げ現象

身近な人の死など衝撃的な出来事に遭遇しても、他人事のように受け止めることがあります。
一定期間を経た後、突然に相応の感情反応を示すことがあります。

ご家族・支援者の方へ

患者さんが守っている自己の空間を大切にしてあげることが重要です。
強引に踏み込まず、ゆっくりと信頼関係を築くことで、生活の質を高めることができます。
個々の状況への対応策を一緒に考え、具体的に教えてあげることが回復の助けになります。